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STORY 7

Auteur: mako
last update Date de publication: 2026-04-08 16:31:03

仕方なくキッチンへ向かい、冷蔵庫を開けると、中に並んでいる食材はどれも昨日までの自分が用意したものばかりであることに気づき、思わず小さく息を吐いた。

当たり前だ。この家で食事を作ってきたのは、ずっと私だったのだから。私はいつも通りに味噌汁を火にかけ、卵を割り、焼き魚を用意した。

出来上がった料理をトレイに乗せてダイニングへ運ぶと、リビングでソファに腰かけている恒一さんと、その隣に当然のように身を寄せる美咲の姿が目に入った。その距離の近さに、これが預かっている妹との距離かとため息が零れ落ちそうになる。

「できたわ」

それだけを告げて仕方がないので、自分も食べようと席に着こうとした時だった。

「……何してる」

低く抑えた声だったが、その意味を理解できずに夫に視線を向けた。

「座ろうとしているのか?」

その言葉に、椅子へ伸ばしかけていた手を止めた。

「お前の席はない」

淡々と、まるで説明するまでもない事実のように言い放たれ、その一言で空気の温度がわずかに下がるのを感じた。

「……そう」

それだけを口にして、立ったまま二人の様子を見ている自分がおかしくなる。この二人と朝食を食べたいわけじゃない。

「いただきます」

場の空気とは無関係に、美咲が明るい声を響かせる。何事もなかったかのように箸を取り、味噌汁に口をつけた、その直後だった。

「……え?」

かすかな違和感を含んだ声が聞こえた、次の瞬間、美咲の表情がわずかに曇る。

「どうした?」

恒一さんがすぐに身を乗り出し、その顔を覗き込む。

「いえ……なんだか、少し変な味がして……」

遠慮がちな口調だったが、その言葉ははっきりと場に落ちた。それだけで、空気が変わる。

「……変な味?」

低く繰り返されたあと、ゆっくりとこちらへ向けられる視線に、背筋が冷たくなるのを感じた。

「お前、何をした?」

「何もしてないわ」

即座に否定する。そんなことをする理由も意味もない。

「普通に作っただけよ」

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、「ふざけるな」低く押し殺した声と同時に視界が大きく揺れ、パシン、と乾いた音が室内に響いた。

何が起きたのか理解するより先に、頬に焼けるような痛みが走り、遅れて、自分が叩かれたのだという事実が現実として追いついてくる。

「美咲に何かあったらどうするつもりだ」

冷たい声音と、まっすぐに向けられる怒りの視線。そのどちらもが一切の疑いなく私を責めている。

「何もやってないわ!」

そう伝えても、恒一さんは鋭い視線を私に向ける。

「わざとだろう」

「どうしてわざとそんなことをしなくちゃいけないの?」

頬に手を当てながら、恒一さんを睨みつけると、彼はとんでもないことを口にする。

「俺が美咲を大切にするから面白くないんだろう。つまらない嫉妬をするな」

嫉妬? まさかこの人は私が自分に気持ちがあると思っていたのだろうか。

「どうして嫉妬なんてするのよ?」

そう言った時だった。

「ごめんなさい、私が我慢して食べればよかったのに……」

美咲の声が聞こえて、私は「もういいわ」それだけを言って自分の部屋に戻った。

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